西山一朗先生
西山一朗先生
駒沢女子大学人間健康学部健康栄養学科教授。学部長。理学博士。キウイフルーツ研究の第一人者。キウイフルーツの果実成分に関する研究論文や学会発表多数。
駒沢女子大学人間健康学部健康栄養学科教授。学部長。理学博士。キウイフルーツ研究の第一人者。キウイフルーツの果実成分に関する研究論文や学会発表多数。
寒さが厳しくなる秋から冬、心配なのが風邪やインフルエンザなどの感染症です。気温が低くなり、空気が乾燥してくると、風邪やインフルエンザの原因となるウイルスの活動が活発に。そのため、冬になるとこうした感染症が流行しやすくなるのです。
インフルエンザの予防に有効な方法には、上記のようなものがあります(※1)。風邪にはインフルエンザのようにワクチンはありませんが、2~6の予防法は有効です。
※1 厚生労働省HP「インフルエンザQ&A」より引用。
免疫とは、病気の元となる細菌やウイルスが体内に入ってきたときに排除する仕組みです。そんな健康にとって大切な免疫力をキープするために有効な栄養素の1つがビタミンC。ビタミンCは、免疫系が適切な働きをするのを助け、風邪などの感染症から体を守る働きがあります(※2)。
このビタミンCを豊富に含むのがキウイフルーツです。例えば、ゼスプリ・グリーンキウイなら可食部100g(1個)で約85mg、ゼスプリ・サンゴールドキウイなら可食部100g(1個)あたり161mgものビタミンCを含み、全食材のなかでのビタミンC含有量はトップレベル。
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2015年版)」によると、成人のビタミンCの推奨摂取量は1日あたり100mg。キウイフルーツなら1個で1日の必要量の大半を補えます。
※2 厚生労働省HP:「統合医療」情報発信サイト「海外の情報」より
「ビタミンCは熱に弱いうえ水溶性なので、加熱調理には向きません。その点、キウイフルーツは生で手軽に食べられるため、ビタミンCのロスが少ないこともポイントです。また、比較的日持ちがするので買い置きしやすい点も便利です」と、駒沢女子大学・健康栄養学科教授の西山一朗先生は言います。
また、ビタミンCは免疫の働きを整える可能性があることもわかってきています。
「2016年に発表された研究データでは、1日2個のキウイを6週間食べ続けると血しょう(※3)中のビタミンC濃度が最大となることがわかりました。ビタミンC濃度が高くなると、免疫がよりうまく働く可能性があります。また、別の研究では、1日2個のキウイフルーツを4週間食べ続けたところ、この免疫細胞の働きが活発になることもわかっています(※4)」(西山先生)
つまり、キウイフルーツを1日2個食べ続けることで、免疫について2つの作用が期待できるという研究があるのです。
「ちなみに、ビタミンCは水溶性なので、過剰に摂取した分は尿中に排出されてしまい、体内に溜めておけません。キウイフルーツを毎日摂り続けて、体内のビタミンC濃度を高くキープすることが大切です」(西山先生)
「実は免疫に関わる細胞や抗体などの半分が腸に存在すると言われています。そのため、腸内環境がよくなると免疫がきちんと働き、インフルエンザや風邪の予防につながると考えられます」と、消化器専門医の大竹真一郎先生は言います。
「腸内環境がよい」とは、腸内にすむさまざまな腸内細菌のうち、体によい働きをしてくれる善玉菌が優位になっている状態のこと。善玉菌が優位だと、体に悪さをする悪玉菌の増殖が抑えられる、腸の働きがスムーズになるなど、体にとってよいことがいっぱい。さらに、免疫もきちんと働くようになります。
善玉菌を優位にするためのポイントの1つが、プロバイオティクスと呼ばれる乳酸菌やビフィズス菌を摂ること。もう1つが“プレバイオティクス”です。
プレバイオティクスとは、善玉菌のエサとなり、善玉菌を増やすのに役立つ食品のこと。その代表として知られるのが、食物繊維です。食物繊維には、便のカサを増やして出しやすくする「不溶性食物繊維」と、水分を含んで便を柔らかくしてくれる「水溶性食物繊維」の2種類があります。
「キウイフルーツには、2種類の食物繊維が理想的なバランスで含まれています。ヨーグルトと一緒に食べると、食物繊維と乳酸菌をあわせて摂れるので、腸内環境のためにはさらに効果的。風邪やインフルエンザなどの感染症が流行りやすい時期には、ぜひ習慣にしてほしいですね」(大竹先生)
くわしく